超低金利政策が終了し金利のある時代へ突入しました。
当初懸念されていたような急激な変化は見られないものの、日本だけでなく他国の情勢を見ると、経済は非常に不安定で、まさにいつ何が起きてもおかしくない状況に陥っています。
手堅く固定金利がいいのか、変動金利が良いのか、住宅ローンの選択に頭を悩ませている方も多いかと思います。
住宅ローンは金融商品です。
せっかく金融面に関心が向いているのですから、住宅の資産価値にも目を向けることをお勧めします。
今回は皆さんが思ったよりも重要な資金計画についてご説明します。
■資金計画がないまま住宅購入を進める人が結構います
家を買おうと思ったら皆さんはまず何を行うでしょうか。
多くの方がポータルサイトで物件広告を見始めると回答されると思います。
気になる物件が見つかって、不動産会社へコンタクトを取って、実際に物件を見に行きます。
物件が気に入ったら買付申込を入れて、売買契約を締結し、住宅ローンの本審査を行います。
大まかな物件購入の流れを書きましたが、大きな問題があります。
物件先行の住宅購入では、その物件代金を支払う能力があるかどうかだけを判定することになるので、ご自身にとって最適な購入金額なのかどうかの検討ができないからです。
この「買うことができるかどうかだけ」の判断が非常に危険です。
何故なら「買いたい」という想いは、時として理性的な判断をも上回ってしまうからです。
今年になってよく目にするようになったペアローンのニュースが最たる例です。
一人では手が届かない物件でもご夫婦二人の収入を合わせれば手が届きます。
成し遂げたいことがあって問題が発生した場合、その状況を鵜呑みにするのではなく、解決策を見出そうとします。
ご夫婦で収入を合わせて借入可能額を挙げるというのは解決策の一つです。
十分検討した上でのペアローンはメリットもあるので問題ないのですが、「買いたい」が先行したペアローンは非常に危険です。
まさに身の丈に合わない住宅購入そのものだからです。
ペアローンの例は極端かもしれませんが、物件を買えるかどうかだけの判断は同じ性質のものだとご理解ください。
そして住宅購入で必要なのは、買えるかどうかではなく、ご自身にとって最適な支払い額かどうかという考え方です。
■家を買おうと決めたらまず初めに事前審査を
住宅購入する上で必要な情報に、借り入れ可能限度額があります。
収入から車など月々返済している額を考慮して、いくらまで借りることができるかを算出します。
言い換えるとご自身の支払い能力です。
ここで間違ってほしくないのが、借り入れ可能限度額ギリギリまで借りましょう、という話ではないことです。
このギリギリの購入が先ほど例に挙げた「身の丈に合わない」という状態です。
借り入れ可能限度額を把握しておくことは非常に重要です。
続いて現在の家計の状況や将来の支出などを見越して、借入希望額を検討します。
この借入可能額はいわゆる物件購入予算というものです。
ローンの返済に不安を感じる方はFPに相談して適切な購入予算を検討すると良いでしょう。
この物件購入予算を考慮しておけば、先ほどの借り入れ可能限度額は必要ないのではないか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、物件購入予算を安全側に、つまり低めに設定される方がほとんどで、実際に物件探しが本格化すると、物件購入予算が足りない状態に陥ります。
この時に予算重視で、物件の方を考え直す方は問題ないのですが、多くの方が「少しくらいなら…」と物件購入予算を引き上げてしまうのです。
ここで「買いたい」という想いが理性を上回ってしまい、当初の予算よりも大幅にオーバーして、限度額に近づいた「身の丈に合わない」購入になってしまいます。
予め限度額を把握しておけば、物件購入予算を算出した時に、どれくらい余裕があるのかを把握できるので、「いくらくらいなら贅沢しても許容範囲」という余力を持って物件探しを行うことができます。
特に中古住宅を購入してリフォームをお考えの方は、この余力を多めに確保しておかないと、資金不足でやりたいリフォームが実施できないという状況になる恐れがあります。