間隔が開いてしまいましたが、前回に引き続き内水氾濫について、今回は対策についてです。
災害ならハザードマップがあるのでは?
内水氾濫も当然水害です。
であればハザードマップが存在しているかと思うのですが…
結論を先に出すと、このハザードマップが公開されている自治体はかなり少ないです。
この内水ハザードマップですが、水防法の改正によって下水道区域全域の自治体で
想定される最大規模の雨を想定したもの
この条件を満たしたハザードマップを作成することが義務付けられていますが…
なんと公開している自治体は7%、わずか1割にも満たないのです。
(令和4年度防災白書より)
それ以外にも以下のような課題があります。
・そもそも内水ハザードマップが存在しない
・一部地域しか作成されていない
・想定される最大雨量のマップではない など
他にも色々とありますが、内水ハザードマップが存在していても「想定外」が起こりやすいハザードマップしか公開されていない自治体が多いのが問題です。
問題へ問題の追い討ち
内水ハザードマップを作成している自治体がかなり少ない問題ですが、この問題の原因でもあり追い討ちをかけるものがあります。
それは【ヒト】と【カネ】です。
特に規模の小さい自治体では職員や財源が限られ、思うように作成できないようです。
この区域図の作成には、予想される最大規模の雨が降った場合、下水管の流量や地上に溢れた水がどのように流れるかのシミュレーションが必要です。
過去の浸水被害の記録や地形の特徴、既存の施設が持つ排水能力の確認などといった作業を事前に行う必要があり、職員が現地調査を行う必要がある場合もあるそうです。
そしてシミュレーションは専門の業者に依頼することが多いようで、その委託費の負担も大きいとのことです。
この費用も自治体によって異なりますが、約1300ヘクタールの区域図を作成した愛知県の清須市では、作成に約2000万円がかかったようです。
国は助けてくれないの?
災害に備えるためですので、国も支援はしてくれるようです。
国土交通省は2022年に。想定区域図を作成する費用のうち半分を補助する制度を作り、
2025年度末までに全国で800団体が作成を終える目標を掲げました。
市町村の防災担当者向けの啓発や支援に取り組んでいますが、過去に内水氾濫が発生していないエリアでは「今後も発生しない、大丈夫だろう」との理由から作成に消極的な自治体もあるようです。
万が一の備えとはいえ、税金ですので住民から苦言を呈される可能性を考えると消極的になるのもわかってしまうのがなんとも…
つまりどうすればいい?
不動産を購入する際には内水氾濫の可能性を把握しておくことが大切です。
現在作成されていないエリアも「絶対安全」ではありません。
もしもの場合に備えて頭の片隅に入れておきましょう。
災難や災害に対しての人の意識は薄くなるものです。
「天災は忘れたころにやってくる」の言葉通り、自然災害でも獣害でも事件事故でも忘れたころに大きな被害が生まれます。
「そういえば内水氾濫って言葉があったな…」程度でいいので、覚えておくといつか自分を助けることになるかもしれません。