■住宅ローンを利用する際の自己資金とは?
住宅を購入する場合「全額キャッシュで購入する」という方はごくわずかです。ほとんどの方は住宅ローンを利用すると思いますが、住宅ローンの利用で重要になってくるのが「自己資金割合」ですね。
自己資金割合によっては、ローンの審査や金利にも影響します。
住宅ローンの本審査になると、本人だけではなく、購入する物件自体の評価も行われます。
なぜなら銀行は、購入する物件を担保にして(抵当に入れて)その資金を貸すからです。
銀行としても数千万円というお金を貸すわけですから、いかに相手が信用できる人間であっても、最後の安全の為に保険をかけてきます。それが、「担保」です。
借主がローンを返せなくなった時には、その物件が競売にかけられて、落札されたお金で穴埋めされるわけです。したがって、その物件が担保としてどのぐらいの価値があるのかは、とても重要になってきます。
銀行にとっては、貸した金額と担保物件の価格は、本来であれば最低でも釣り合っていなければなりません。
出来れば、担保物件の価格の方が高額である方が安心です。もしも担保物件の方が安いとなると、万が一の時には収支はマイナスになってしまうわけです。
従って銀行は、安心して貸せるのであれば、「まあ金利は低くてもいいですよ」となりますが、リスクが大きい場合には「これくらいの金利をもらわなければ貸せません」となります。
そこで金利の優遇に差が出てきます。
購入する側からすると、購入する物件にたいして「どれだけ自己資金を投入できるか」ということになってきます。ここでの自己資金は、物件本体部分に投入できる資金の事で、諸費用などは別途用意しておく必要があります。
例えば、5,000万円の物件を買う時に自己資金として1,000万円使えるのであれば、ローンで借りるのは4,000万円で済みます。銀行としては、もし返してもらえなくなったとしても、5,000万円の物件が残るわけですから、「それなら金利はお安くしておきましょう」となるわけです。銀行にとっては「ローリスク・ローリターン」です。このように自己資金のある人は安全に確実に利益が得られる良いお客様なのです。
ところが、自己資金がなくて5,000万円丸々借りなければならない、ともすると諸費用までローンに組み込みたいという人もいます。
これは「オーバーローン」ですから、銀行としては「返してもらえなくなった時は赤字覚悟」で融資しなければなりません。その高いリスクに見合った大きなリターン(ハイリスク・ハイリターン)を、ということで金利が高くなります。
融資額に対して担保価値がどのくらい余裕あるのかを「担保余力」と言いますが、それが自己資金の投入によって大きくなっているほど、金利は有利になるというわけです。
■自己資金割合を少しでもアップするには
自己資金割合を上げるためには、なんといっても住宅購入準備段階での「貯蓄」がポイントとなります。
無理なく、そして確実に住宅購入費用を貯めるには、財形貯蓄をおすすめします。
勤務先によっては給与から天引きで貯蓄ができ、さらには優遇金利も適用されるケースがあります。
さらに、財形住宅融資などの特典も受けられますので、住宅の購入を予定しているならぜひ検討してみましょう。
■自己資金割合を上げるデメリット
ただ、自己資金割合を上げ過ぎると「いざというときの貯蓄がなくなる」というデメリットもあります。
一戸建てやマンションの購入後も以下のような出費が考えられます。
・住宅の補修費用
・新居の準備費用(引っ越し、家電の購入など)
・想定外の家族の病気や事故にかかる費用
・子どもの教育費
したがって、毎月の返済額を下げようとするがあまり自己資金割合を上げ過ぎると、緊急時にお金を用意することができず「カードローンで借金をする」といった事態にもなりかねません。
あくまで理想論ではありますが、30代の夫婦で子どもひとりの一般的な家庭の場合、いざというときのための貯蓄として最低限300万円程度は備えておきたいものですね。
ローンの審査は年収だけで判断はできなく、お勤め先の業種、年齢、自己資金等々複雑です。
少しでも不安のある方は早々に相談されることをお勧めします。