■相続した土地・建物の登記を義務化すること
第2の柱は相続した土地・建物の登記を義務化することです。施行後は相続発生から3年以内に所有名義を故人から相続人に変更する必要があります。既に相続が発生している場合は2027年3月末が期限となります。いずれも登記しなければ、10万円以下の過料になる場合がある為、注意が必要です。
現在は任意で、変更手続きの期限もないため登記をしないケースが目立っており、登録免許税や司法書士への報酬といった登記費用の負担をしたくないとして怠る場合もあり、所有者不明土地の一因となっています。
協議が難航するなどして登記期限に間に合わない場合は、同時に新設する相続人申告登記制度を利用する方法があり、相続人の住所、氏名などを申し出れば、3年が過ぎても過料の対象になりません。登録免許税も非課税です。
法定相続割合での分割を避けたいなら、10年の期限内に相続人同士で折り合う必要があります。しかし、期限内に家庭裁判所に調停・審判の申し立てをすれば、10年経過後も法定相続分以外の分割は可能となります。また期限が過ぎた段階で相続人同士が協議を進めて全員が合意すれば、特別受益などを考慮した分け方にすることができます。
■不要な土地を国が引き取る「相続土地国庫帰属制度」が始動していますが・・・
相続する土地が売ったり貸したりすることが難しかったり、相続人の誰も引き継ぐ意思がなかったりする場合は、第3の柱である相続土地国庫帰属制度の利用が選択肢です。引き取ってもらう土地は多くの条件を満たす必要があり、ハードルは高いようですが・・・。
条件は利用申請時と法務局による審査時の2段階があり、それぞれ5つあります。まず申請時は建物があると申請を受け付けてもらえない為、解体・撤去する必要があり、費用は自己負担となります。担保権が設定されていたり、隣地との境界が不明確で争いがあったりする場合も却下されます。審査段階では土地に庭木を含む樹木や石灯籠などの工作物があったり、除去が必要なコンクリート片などが埋まっていたりすると認められません。地割れや陥没がある場合も承認しないようです。
引き取りが決まったら、申請者は管理費相当額として一定の負担金を納めます。具体的には宅地、農地、森林といった土地の種類や面積ごとに決める。例えば都市計画法の市街化区域にある宅地で面積が「100平方メートル超200平方メートル以下」なら「面積×2450円+30万3000円」で算出する。市街化区域外にある宅地の負担金は面積にかかわらず一律20万円となっています。
ぜひ、今後の参考にお役立て下さい。