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中古一戸建ての賢い購入術(その1)

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2025年4月10日の日本経済新聞に「中古マンション 高所得でも夢幻」というタイトルの記事が出ていました。内容を見てみると、年収1000万円でも買えるエリアが激減しているという大変ショッキングな内容でした。その内容を踏まえ、今回は「中古一戸建ての賢い購入術」について、解説をしたいと思います。

■日本の住宅市場の変化と中古一戸建ての現状について
日本社会は本格的な人口減少時代に突入しており、かつての「スクラップ&ビルド」型の新築至上主義の住宅文化を続けていては、将来的に空き家問題がさらに深刻化することは避けられません。近年、中古住宅市場は徐々に活性化しつつあるものの、その主役はマンションが中心となっています。一方、中古一戸建てについては、構造や性能面での不安要素が完全に払拭されていないことから、まだ十分な市場の盛り上がりを見せていない状況です。
そこで今回は、不安や懸念を解消し、安心して中古一戸建てを購入するための具体的なポイントを詳しく解説していきます。これから住宅購入を検討されている方々にとって、選択肢を広げ、より満足度の高い住まい選びの一助となれば幸いです。

■ リフォームを前提とした物件選び—不安を解消する第一歩
中古一戸建てに対して多くの方が抱く不安要素は、主に「見た目の古さや汚れ」「建物性能への懸念」「専門的な知識不足による判断の難しさ」の三点に集約されると思います。これらの不安は、購入時からリフォームを視野に入れることで効果的に解消することができます。
住宅購入において、ほとんどの方は不動産仲介会社のサービスを利用しますが、ここで重要な点を認識しておく必要があります。不動産仲介会社は不動産取引の専門家ではありますが、必ずしも建物の構造や性能を専門的に評価できる立場ではないのです。建物の性能や状態を正確に把握するためには、建築の専門家である「建築士」の知見が欠かせません。
したがって、中古一戸建てを安心して購入するためには、建築士の存在が不可欠といえるでしょう。不動産仲介会社の中には建築士を社内に抱えている場合もありますが、より専門的な視点からのアドバイスを得るためには、地域に根差した工務店やリフォーム会社に相談することをお勧めします。ただし、すべての工務店やリフォーム会社に建築士が在籍しているわけではありませんので、事前に確認することが重要です。
中古住宅の表面的な汚れや内装の古さはリフォームによって一新できますし、防水性能や断熱性能といった住宅の基本性能に関する問題もリフォームで大幅に改善することが可能です。また、建物の状態や必要なリフォームの範囲、さらには利用可能な住宅関連制度についての「わかりにくさ」は、経験豊富な建築士の存在によって大いに解消されるでしょう。
逆に言えば、リフォームを考慮せずに中古一戸建てを購入しようとすると、選択肢は築浅の物件に限られてしまいます。これでは物件選びの幅が極端に狭まり、立地や価格などの条件で妥協を強いられる可能性が高くなってしまいます。リフォーム前提の物件選びは、より広い選択肢の中から理想の住まいを見つけ出すための重要な考え方なのです。

■ リフォーム予算の事前把握—失敗しない資金計画の秘訣
リフォームにかかる費用は物件の状態、築年数、構造、規模によって大きく異なります。よくある失敗パターンとして、購入希望の物件が見つかってから(あるいは売買契約締結後に)初めてリフォームの相談を始めるというケースが挙げられます。しかし、これでは適切な資金計画を立てるには遅すぎます。最悪の場合、必要なリフォームを実施するための予算が足りず、重要な工事を見送らざるを得なくなる可能性も考えられます。
中古一戸建ての購入を成功させるためには、購入資金とリフォーム資金を含めた総合的な資金計画が不可欠です。まずリフォーム予算を以下の二つのカテゴリーに分けて考えることをお勧めします。

最低限行うべき性能向上リフォームは防水対策、構造補強、断熱改修など、住宅の基本性能や耐久性に関わる工事があげられます。また、住宅設備などその他のリフォームについてはキッチン、浴室、トイレなどの設備更新や内装の刷新など、主に快適性や見た目に関わる工事があげられます。

このうち「住宅設備などその他のリフォーム」は優先順位を付けて段階的に行うことも可能ですが、「最低限行うべき性能向上リフォーム」は住宅の寿命に直結する部分であり、これを実施できなければ早晩、雨漏りやカビの発生などの深刻な劣化現象に悩まされることになります。「中古一戸建てを購入したものの、すぐに雨漏りが発生し、想定外のリフォーム費用がかさんでしまった」というのは、中古住宅購入における典型的な失敗事例の一つです。
この「最低限行うべき性能向上リフォーム」の内容と費用は物件によって千差万別です。したがって、購入する物件を決めてからリフォーム会社に相談するのではなく、物件選びの段階から信頼できるリフォーム会社に相談し、候補となる物件を一緒に内見してもらうことが理想的です。
候補物件が絞られたら、リフォーム会社に内見に同行してもらい、次の二点について概算見積もりを出してもらうことが大切です。

〇最低限行うべき性能向上リフォームの費用
〇理想的な生活環境を実現するために希望する設備交換などのリフォーム費用

これにより、物件価格とリフォーム費用を合わせた総費用を事前に把握することができ、安心して売買契約を締結することができるでしょう。想定外の出費を避け、計画的な住宅購入を実現するためには、この事前準備が極めて重要なのです。

その2に続きます。

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