不動産の処分に関して、大きな問題となるケースのひとつに「共有状態」があります。
話し合いがまとまらない!というケースが大半ですが、中には、そもそも話し合うべき相手が見つからない!といったケースもあります。
どこに行ってしまったのでしょうか?
例えば、相続して放置してしまっていた土地を売りたいというケースです。
相続したまま名義変更をせずに放置していると、相続人の数はネズミ算的に増えていきます。
子供3人が相続人だったけれど、さらに相続が発生し、その孫達が相続人になり・・・
といったように、放置すればするほど相続人の数が増えていきます。
これが資産だともうお祭り騒ぎになりそうですが。
結果、10名以上での話し合い(=遺産分割協議)が必要になってしまうこともあります。
この時点で揉めるような気がしますが、そもそも出席を嫌がる人も出てきそうですね。
このご時世なのでコロナを理由に断られたら無理に引っ張り出すこともできないですし。
そのような場合でさらに問題となるのが、相続人が見つからない場合です。
登記簿がごちゃ混ぜで相続人が見つからないではなく、物理的に見つからない状態のことです。
つまり行方不明となり音信不通になっているということです。
遺産分割協議をしようにも、協議をする相手が見つからないとどうにもなりません。
不動産を売却するためには、まず相続手続きをして、名義を変更しなければなりません。
誰かが所有している不動産を勝手に売却することはできませんし、そもそも一般常識的に良くないのは明白です。
相続したものの持て余していた土地でしたが、偶然購入希望者が見つかったため、
慌てて相続手続きをしようと準備を始めた、というケースもままあります。
ところが、相続手続きは、相続人全員の合意がなければ進みません。手続き上も全員の実印と印鑑証明書が必要になります。
これも今後の改革で印鑑が不要になったり電子化されていくのでしょうか。
しかし、失踪者とは連絡を取ることもできず、生死すら不明の状況ということもあるのです。
音信不通で生存しているかすらもわからずに、頭を抱えたくなってしまう状況ですが、このような場合に利用できる方法が「不在者財産管理人」制度です。
やっぱり救済措置は存在しているということですね。
「不在者財産管理人」制度とは、行方不明者の代わりに手続きを行う管理人を、裁判所に申し立てて選定してもらう手続きです。
この申立てが認められると、「不在者財産管理人」が選任され、
この管理人が行方不明者の代わりとなって遺産分割協議書へ署名・捺印をすることになります。
ただし、不在者財産管理人は、あくまでも行方不明者が戻ってくるまでに代わりに財産を管理する人ですので、行方不明者の不利になる行為はできません。
今回のような土地売却では、他の相続人は皆さん放棄をしてくれたとしても、行方不明者の分は放棄してもらうことができないため、
その取り分となる現金を管理人に渡すこととなります。
手続き上はこのように解決する方法が準備されていますが、実際には
・行方不明者の捜索手続き
・不在者財産管理人選任の申立手続き
・遺産分割協議の許可申立手続き
・売却
このような膨大な手続きと時間・費用がかかってしまいます。
せっかくの不動産売却代金がほぼ手続き費用で消えてしまう、なんてこともあるのです。
不動産は処分手続きが困難になる要因が多く含まれています。
何より「捨てる」という行為ができません。
不動産に関しては、そもそも売却し易い・貸し易い物件を選別する。
保有した後もなるべく共有状態を作らない、などの適切な知識が必要となります。
この先訪れるであろう相続や、既に共有化されていて処分に困っている不動産はありませんか?
お困りのことがありましたら、朝日リビングまでお気軽にご相談ください。