続きです。
■不動産相場の決定要因(顧客ニーズと市場の乖離)
重要な点は、不動産相場が個人の通勤利便性によって決まるのではなく、その他大勢の人々の需要バランスによって形成されることです。
自分にとって最適な立地であっても、市場全体の需要が低ければ価格は抑制され、逆に自分には不便でも市場需要が高い地域は価格が上昇します。
都心とは、特定の個人にとって魅力的な街ではなく、多くの雇用を抱える地域や駅を指します。この視点を持つことで、より客観的な不動産選択が可能になります。
■都市の垂直発展がもたらす影響(将来展望について)
最近話題となっている「老朽マンション、容積率上乗せの新制度」は、不動産市場に大きな変化をもたらす可能性があります。
この制度により建て替えが促進されるのは、主に都心部の旧耐震マンションが中心となると予想されます。
建て替え事業を手がけるデベロッパーの立場で考えると、投資効率の観点から都心の旧耐震マンションが優先対象となるのは必然です。
容積率の上乗せにより、同じ敷地面積でより多くの住戸を供給できるため、都心部での供給増加が見込まれます。
都市が垂直方向に拡大する(建物の高層化)ことで、水平方向の物理的距離が遠い地域の需要がどのように変化するかは注目すべき点です。
都心部での住宅供給が増加すれば、遠距離エリアへの需要が相対的に減少する可能性があります。
将来の不動産相場を正確に予測することは困難ですが、上記のような要因を総合的に考慮することで、より戦略的な判断が可能になります。
沿線という枠組みを一度外し、より広い視野でエリアを検討することで、思わぬ掘り出し物件に出会える可能性が高まります。
一過性の人気に左右されず、そのエリアが持つ本質的な価値(交通利便性、生活環境、将来性など)を冷静に評価することが重要です。
現在の人気が将来も続くとは限らないため、多面的な分析が不可欠です。
住まい探しにおいては、従来の常識にとらわれず、柔軟な発想で選択肢を広げることが、理想的な住環境と適正価格の両立につながる鍵となるでしょう。
今後の参考にお役立て下さい。