首都圏中心にタワーマンションが増えています。
東京都の臨海副都心と呼ばれるエリアには、今でも新築のタワーマンションが建設されています。
今は新築マンション購入者の5人に1人がタワーマンションを購入するという時代になっているようですが、2019年10月の台風19号等の影響により、
様々なリスクがタワーマンションの課題として浮上してきているようです。
まずは2019年に日本を襲った台風19号の影響により、川崎市のJR武蔵小杉駅周辺のタワーマンションでは、地下3階まで浸水し電気設備が故障しました。
その結果、エレベーターや排水設備が動かず、トイレも使えない状態になったケースもあったようです。
また、給水ポンプも電動のため断水となり、多くの住人に影響が出たようです。タワーマンションでは大規模な配電設備が必要なケースが多く、
その配電設備のスペース確保のため地下2~3階に設置することが一般的ですが、ここまでは防災対策がされておらずに、設備が大きな被害を受けました。
日本では電気設備を地下に設置したために、災害時に甚大な被害に繋がったケースが他にも存在しますので、設備の防災対策が必要になります。
被災したタワーマンションは、復旧にも壁が立ちはだかります。
地下など共用部の工事費をどう捻出するかですが、電気設備など高額なものを組合が負担する場合は「区分所有者の合意が基本」となり、
一時金が必要となれば、総会で4分の3以上の賛成が必要となる為、その合意形成には時間と費用も掛かってきます。
■災害以外にもタワーマンションには見えないリスクが潜んでいる
タワーマンションの場合、12~15年ごとに行う大規模修繕工事に莫大な資金が必要となるケースが多く存在します。
埼玉県川口市のエルザタワー55では1回目の大規模修繕に12億円かかり、1戸当たりの費用は一般的なマンションの約2倍が掛かったようです。
国土交通省のマンション総合調査(2018年度)によると、20階建て以上のうち28%で修繕金が計画より不足しているそうです。
管理費などの滞納は40%となっているようで、資金不足のタワーマンションも多いようです。
1回目の修繕工事は辛うじて乗り切れたとしても、2回目、3回目の修繕工事では資金不足になる可能性があります。
例えば築30~40年での交換が多いエレベーターや機械式駐車場ですが、更新には多額の費用が必要となり、その負担を巡り高層階と低層階で対立することもあるようです。
修繕金が不足する場合は値上げが必要となり、住民が多いタワーマンションでは、負担する金額等も多く、合意形成はより難しいケースもあるようです。
総会での議決権については、住戸の価値割合に連動した設定も考えられるようです。
国交省は2016年、マンションの標準管理規約を改定し、高層階と低層階で価値の差が大きい場合は、議決権に差を設けることも選択肢との解説を追加されており、今後増えていくタワーマンションに対する配慮ともとれる内容も盛り込まれているようです。
議決権に差を設ける選択をしたとしても、それに起因してまた新たな問題が発生する懸念もありますので、完璧な解決策を見つけるのは難しそうです。
1971年に国内で最初のタワーマンションが誕生しました。
古いタワーマンションが増え、修繕工事はこれから本格化していきますが、高まるリスクにどう備えるかの課題は山積です。
■タワーマンションのメリット・デメリットについて
<メリット>
・耐震・免震・制震構造
・生活利便性に優れている
・共用施設が充実している
・手厚い防犯・防災対策
・上層階は眺めが良い
<デメリット>
・管理費が高い
・修繕積立金が高い(不足するケースもある)
・投資目的の所有者が多い
・住民同士の対立が起こるケースもある
・タワマンでも強盗は発生する
以上のように、タワーマンションの購入は、メリット・デメリットが混在します。