タイトルから不動産業界のイメージを下げそうな内容ですが…
今回は、不動産に関連する犯罪を、刑法の視点からいくつか見ていきたいと思います。
そろそろ怒られそうです
まずは、一時期話題になった不動産の「詐欺罪」から見いていきましょう。
大手不動産事業者が「地面師」に騙された結果、50億を超える金額を騙し取られた事件がありました。
こちらは、本人確認書類や権利証、印鑑証明書を偽造し、売主になりすまして売買代金をだまし取る、という犯罪です。
もちろん、書類の偽造自体も「公文書偽造罪」という犯罪です。
他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団と表現されるだけのことはあります。
とんだ極悪集団ですよほんと
不動産の悪いイメージをなんとかしたいものですが、とんでもないことしてくれましたよこの極悪詐欺集団は。
…気を取り直して次です。
つづいては、「住居侵入罪」です。
これはその名のとおり、他人の住居・邸宅・艦船などに、不法に侵入する行為です。
住居に邸宅はわかります。
コソコソ忍び込めますし、正面から堂々と突っ込むこともできますからね。
間違ってもプリ○スで正面突破とかはしないでくださいね
ですが…艦船にどうやって侵入するんでしょうか…
似たような犯罪に、「不退去罪」というものもあります。
こちらは、「出ていくように命じられたのに出て行かない」という罪です。
店舗などの、一般に出入りが許容されている空間において、退去命令に従わなかった場合に該当します。
そもそも入って良い場所か、そうでない場所かが住居侵入罪と不退去罪の違いになります。
「ラーメン屋に3時間居座って不退去罪になった」という事例もあるようです。
このラーメン屋に居座った件に一言だけ言わせてください。
居酒屋じゃないですよ!
飲食店の滞在には気をつけましょう。
犯罪名に「不動産」を冠する「不動産侵奪罪」という犯罪もあります。
他人の不動産に勝手に建物を建てる等の行為が該当します。
他にも、「他人のマンションの鍵を勝手に交換して、立ち入り禁止の張り紙をした」という例や、「他人の土地に穴を掘って、土砂を積みあげた」という事例もあります。
なんか昭和の地上げだったりあっちの業界でよくありそうな内容ですね…
昔は窃盗罪で処罰しようという議論がありましたが、「不動産を盗む」というのはおかしいということで、昭和35年に新たに設けられた刑法犯です。
動かないものを盗むというのも変な感じしますね。
一方、他人の土地で生育している農作物を抜き取って持ち去る行為は「窃盗罪」になります。
農作物は、抜き取った時点で「不動産」から「動産」に変わるという理屈ですね。
つまりその土地にある岩とかを掘り返して動くようにして持ち去れば窃盗扱いになるということですね。
最後は「境界損壊罪」です。
土地の境界を示す「境界票」を勝手に移動したり除去する行為はこの「境界損壊罪」に該当します。
ちなみに、境界票を壊しただけではただの「器物損壊罪」ですが、境界票を壊して「境界を不明にする」と境界損壊罪が成立します。
邪魔だからと勝手に境界杭を抜いたりしないようにしましょう。
ちょっとした不動産の小ネタでした。
間違っても悪用だったり再現はしないようにお願いします。
私は責任を負いません